2021.04.14
2020年7月:サンホセ日本人学校「ICTに対する不安や抵抗感への対処法」
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理
本校がAG5プロジェクトの研究を始めようと思ったきっかけは、常々抱えていた「少人数クラスのため対話的な学習が困難」という課題の解決に繋がると考えたためです。
本校は児童生徒数が非常に少ない学校で、小・中学部合わせて10名程になります。学級は1人ないし2人のため、授業において、友人の考えに触れる対話的な学習が困難でした。そのためAG5プロジェクトにおいて、他の日本人学校とICTを活用することで繋がり、多様な意見に触れることができれば、より学習の質を高められると考えました。
そこで、「外部の人々とICTで繋がり、多様な意見に触れること」を目標として設定し、研究に取り組み始めました。
目標に迫るにあたり、まず教師と児童生徒がもつICTに対しての抵抗感を減らさなければなりませんでした。ICT機器やアプリケーションに対して苦手意識を持つ教師及び児童・生徒もいましたので、段階的に導入していくことにしました。
教師に関しては、授業等で教師が困り感を感じたときや、新たなアイデアが欲しい、活動の幅を広げたいと考えたときに、いくつかの実践例から用途に合わせて選択できるように環境を整えました。
例えば、各教師が遠隔授業で実践したICTの活用方法をPMIQシートという記録用紙に記入し、Googleドライブ上で共有をしています。また、特に有用だったものについては、職員打ち合わせ等の全体の場で紹介することもあります。
児童生徒に関しては、まずは比較的ICT機器に慣れ親しんでいる中学生から実践を始め、小学部高学年、中学年、低学年へと徐々に実践の範囲を広げていきました。ICT機器やアプリケーションの使い方についても、簡単な操作から少しずつ発展的なものへと進めていきました。
例えば、最初は添付された資料に○を付けるだけの操作から音声を録音したり、タブレットで写真を撮ったり、文字を打ち込んだりするといった流れです。このような操作が可能となることで学習の記録を児童生徒から送ってもらい、それを授業中に共有することができるようになりました。
遠隔授業と普段の授業形態との違いに、教師も児童生徒も最初は戸惑いがありましたが、様々な工夫をすることで新たな視点が広がってきています。
国語科においては、PDF化した本文に意見や傍線を積極的に書き込むことができますし、訂正も簡単に行えます。あらかじめ音読の音声データを送っておくことで、スムーズに新たな単元に取り組むこともできます。
理科においては、実験によっては児童生徒が自身でできないものもありますが、教師が行ったものを動画で撮影し、画面共有しながらの解説や、画面への書き込みをすることで、「分かりやすい」と好評です。
このような取組みによって、ICTが特別なものではなく日常的なものになってきています。今後も様々なニーズに応えられるよう、教師も児童生徒も楽しみながら研究を進めていきたいと考えています。