2022.03.11
大連日本人学校における2021年度の取組みと成果
1.目的と概要
大連日本人学校では、テーマ達成のため、高い日本語能力の習得を目指し、「表現活動」を活動の柱に据えた日本語支援を行うことが、有効であると考えた。
また、バイカルチュラルの資質の中で、確かな言語能力だけではなく、他者の考えや思いを理解し、受け入れた上で主張できる力や、「自己肯定感」を高めることを重要視した。
以上のことから、本校では在籍学級における「表現活動」を中心に、「自己肯定感」や「コミュニケーション能力」などの「様々な価値観を受け入れ、その上で自分自身の考えを確立し、適切に主張することができる資質」に着目し、実践に取り組んだ。
2.取組みと成果
(1)実態の把握について
①「DLA〈はじめの一歩〉」の「語彙チェック」実施。
②『「文部科学省日本語指導が必要な児童生徒を対象とした指導の在り方に関する検討会議」作成の参考資料』の一部を活用し、本校の実態を把握・共有。
(2)情報交換会・合同研究会への参加
5月22日(土)日本時間 15:00~16:30 第1回オンライン情報交換会 (マニラ日本人学校主催)
6月19日(土)日本時間 11:00~12:30 第2回オンライン情報交換会 (大連日本人学校主催)
7月17日(土)日本時間 11:00~12:30 第3回オンライン情報交換会 (青島日本人学校主催)
11月27日(土)日本時間 15:00~16:30 合同研究会 (マニラ日本人学校主催)
10月23日(土)日本時間 15:00~16:30 せんせいカフェ(オンライン交流会) ※希望者のみ参加
(3)教育実践 ※指導案については添付資料を参照のこと
①「表現活動」を重視した授業づくり
②在籍学級における日本語支援(言葉を広げる活動)
ⅰ. 教え合い・認め合い(支援的風土を生かす)
ⅱ. 言葉を広げる活動(実感を伴う理解)
ⅲ. 視覚的アプローチ(思考の視覚化・資料の提示)
ⅳ. モデル文の提示(表現活動につながる)
ⅴ. ICTの活用(iPad・ロイロノート)
③自己肯定感を基盤に違いを受け入れ、自己の良さを発揮する「バイカルチュラルの資質育成」
日本と中国の差異や共通点を探る授業実践
現地校や在大連企業、他地域・日本国内の学校などとの交流
(4)冊子の作成
本校の3年間の取組について、プロジェクトリーダーの近田由紀子先生やAG5事務局の指導・協力のもと、冊子の作成に取り組んだ。
■成果
(1)学校の体制づくりについて
教員で目標を共有して実践を積み重ねる学校体制を構築することができた。
(2)全教員での共通理解について
「DLA語彙チェック」や「JSL評価参照枠」・「目標項目」を活用することにより、各学年の発達段階や各学級の実態・課題を全教員が共有して実践に取り組むことができた。
(3)表現活動を柱とする日本語指導について
児童生徒の学習意欲を引き出し、高めながら効果的な教育実践を積み重ねることができた。また、日本語力が十分ではない児童生徒への効果的な日本語支援につなげることができた。
(4)バイカルチュラルの資質育成について
それぞれの児童生徒が自身の良さに気づき、資質の基盤となる「自己肯定感」を高めることができた。さらに、言葉を選んで表現する力、相手の考えや思いを聴きとる力など、社会生活の中で生きる日本語力の育成につなげることができた。また、日中の比較(共通点・相違点)を行う学習を通して、多様な価値観を受け入れつつ自身の考えを深める資質育成のための大きなきっかけとすることができた。
(5)マニラ日本人学校・青島日本人学校など、他地域との交流
情報交換会や合同研究会を通して、国・地域による文化・教育などの共通点・相違点、ICT機器の活用の仕方など、様々な情報について交流することができた。
3.資料
報告書と添付資料
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