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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

遠隔合同授業のはじめ方(遠隔合同授業のレイアウト)

遠隔合同授業のはじめ方

INDEX

1.遠隔合同授業の教室レイアウトのデザイン

AG5では、遠隔合同授業のタイプとして、一斉授業型発問型発表型対話型の4つにわけて、それぞれのタイプで、遠隔合同授業のための教室レイアウトをどのようにデザインしたかについて議論を重ねてきました。

1つの授業に、一斉授業型と対話型などの組み合わせはありますが、主に何を目的とするかによって、教室レイアウトは変わってきます。以下にそれぞれのタイプ別における教室レイアウト案について示します。

 

一斉授業型 

発表型 

発問型 

対話型 

2.一斉授業型の遠隔合同授業

一斉授業型は、教師が中心となって教科書の内容などを教える授業形態です。リアルタイムオンラインで実施するメリットが多くあります。

 

【事例】

A教室とB教室の合同遠隔授業。今日の先生は、A教室のX先生です。A教室とB教室の教室をインターネットでつなぎ、B教室の生徒はX先生の授業を受けます。決まった内容を効果効率的に教える場合、一斉授業は有効です。オンラインで実施することでレコーディングもできますので、復習や欠席した児童生徒に授業後にデータを共有することも、繰り返し視聴することも可能です。

 

【一斉授業型の授業での先生の事前準備】

【X先生が準備したもの】

・授業内容をまとめたスライド

・タブレット端末とタブレットペン

・授業に関する外部リソース(映像や写真)

・ビデオカメラ(またはウェブカメラ)

・ワイヤレスのスピーカーとマイク

【Y先生が準備したもの】

・プロジェクターとスクリーン(電子黒板)

・ビデオカメラ(またはウェブカメラ)

・ワイヤレスのスピーカーとマイク

・広い会場なら、スピーカーシステム

 

【教室レイアウトについてのAG5先生アドバイス】

◯カメラ・モニターの設置

  • X先生にB教室の子どもたちの学習の様子がよくわかるよう、常に画面上に映しておきたい。
  • 一人一端末だとやりやすい。リアルタイムにチャットをしたり、反応を返せたりするようにすると良い。
  • 授業全体を見渡せる俯瞰と、X先生が大きく映っている映像と2つあるといい。そのため、2つのモニターで見せるとベストです。

 

◯音声機器の設置

ハウリングにならないように注意する。一人一台端末の場合、「音声の切断」をしておきましょう。

 

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3.発問型の遠隔合同授業

【事例】

A教室とB教室の合同遠隔授業。教室と教室をつないだ授業形態です。今日の先生は、A教室のX先生です。A教室とB教室の教室をインターネットでつなぎ、AとB教室の生徒は一緒にX先生の授業を受けます。

遠隔合同授業で発問を中心とした授業をする上で重要なことは、生徒が参加しやすいデザインです。X先生は自分のクラスだけじゃなく、遠隔地の教室の生徒のこともよく見る必要があります。どの生徒が手をあげているのか、どの生徒が発言しようとしているのか、目の前の教室の生徒だけでなく、遠隔地の生徒にも目をむけていきます。

そのため、B教室のY先生は、X先生が全体をみることができるようにレイアウトを工夫します。では、どのように、生徒みんなが参加できるように/参加しやすいように、学習環境をデザインすればよいでしょうか?

 

【事前準備】

マイク&スピーカーの設置 モニターの設置 カメラの設置

・高性能マイク兼スピーカーの設置を子どもの輪の中心におく。

・複数の端末を置くとハウリングするため、片方の端末のオーディオを切断しておく必要がある。(それは共有用などにする)

・大型モニターに映す場合、光の反射で見えない角度もあるのでブラインドの設置や設置角度を工夫する。

・俯瞰カメラの設置(後ろから撮影/教師と黒板を映す)

・生徒たちの様子を映すカメラの設置(前から撮影/生徒の顔を映す)

 

【教室レイアウトについてのAG5先生アドバイス】

2つの教室の生徒が授業に参加しやすくなる工夫として次のようなアイデアがあります。

◯教師の発問を耳と目で確認できる工夫

遠隔合同授業では音が途切れることやタイムラグが生じることがあるため、耳だけではなく、目でも確認できるように工夫することにしました。

たとえば、

・練習問題を書いたスライドまたはPDFのワークシート

・タブレット端末とタブレットペン

などです。どちらの生徒も、教師の声を聞き、同時に目でも説明や質問を確認できるようにしました。

 

◯生徒同士の様子を見るため工夫としての2カメラ

発問型の授業で特に重要なポイントは、教師ー生徒だけのやりとりにならないようにする工夫です。生徒が、発言する生徒に目を向け、また、他の生徒の様子をみながら発言したり、意見を追加したり、反応したりできる必要がありました。そこで、教室全体をみれる俯瞰カメラと、発言する生徒にスポットライトがあたるカメラの2台を準備することにしました。そこで、カメラを2台とそれをつなぐパソコン2台を準備しました。そのうちのカメラ1台をビデオカメラにしておくと、カメラの固定位置からズームアップして生徒の顔を映し出せます。ビデオカメラを使わない場合、発言する生徒がカメラの前に出ていくなど工夫が必要になります。

 

◯T2の役割

・一斉授業をリアルタイムオンラインで実施する場合、映像にはない臨場感を作っていくことが重要です。とB教室の生徒の様子やつぶやき、ひらめきから授業を展開できるように、T2はX先生がとらえにくいB教室の児童生徒の様子を、報告するなどフォローしていきましょう。

 

◯相手意識

・「誰か」が話しているのではなく「◯◯さん」の発言だということを遠隔およびF2Fの両方の児童生徒に実感できるようにすることが重要です。

・X先生がB教室の生徒に声をかけやすいように、Y先生は、B教室の生徒の名前を事前にX先生に伝えておきましょう。一人一台端末で参加する場合、Zoomの名前などを変更してX先生がB教室の児童生徒の名前を呼びやすいようにしておきましょう。また、オンラインコミュニケーションを円滑に進めるため、聞き手がジェスチャーや顔の表情、反応ボタンなどをつかってリアクションしていくことをルールとして事前にシェアしておきましょう。

 

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4.対話型の遠隔合同授業

【事例】

今日の授業は、A学校とB学校をつないだ対話型の授業。ところが、最初のうちはどう話したらいいのか、どう反応したらいいかがわからず、沈黙になってしまったり、伝わっているかどうかわからなくて不安になってみんな話せなくなったりします。どうすれば、生徒同士の対話を活発に進めることができるのでしょうか。

 

【事前準備】

対話の見える化

対話型の授業の時は、子どもたちの対話を見える化しておくと、参加しやすいため、タブレットペンが使えるiPad, ロイロノートなどを使って、それぞれの意見を見える化を行いました。

相手の姿の見える化

対話型で重要なのは、話し手の子どもの声がしっかり全員に聞けること、そして、話し手の顔が見えること。そのため、子どもの声を拾える場所にマイクをおいて、教室レイアウトを考えました。また、スクリーン上には、教室全体の様子(俯瞰)と、話し手の顔のアップが映し出されるようにしました。

 

【教室レイアウトについてのAG5先生アドバイス】

◯高機能マイクスピーカーを教室中央におき、子どもの声が拾えるようにしました。動作確認は事前に必要不可欠!音を拾いづらい時は、iPadをマイク代わりに使うことも可能ですし、ワイヤレスマイクを使うのもよいでしょう。

 

◯ネット環境が整っていれば、一人一台端末でzoomに入室し、オーディオ切断して、教室内の発言はマイクスピーカーが拾います。カメラだけオンにしておくとギャラリービューで全員の顔がみられます。ただし、その場合、教室にいる子どもたちはモニターばかりをみてしまうのでせっかく同じ教室にいても、一緒にいる感じがしないのが問題点。しかし、お互いの顔がよくみえると話しやすいので、やりやすいほうを選択するといいでしょう。

 

◯他のやり方としては、ズームインができるビデオカメラをウェブカメラとして利用すること。話し手がいる時はズームインして顔が映るようにすると、話し手に全員が顔をむけて話ができます。そのためには、カメラを操作する人員がもう一人いると良いでしょう(慣れてくると教師一人で対応できます)。

 

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5.発表型の遠隔合同授業

【事例】

クラスメイト以外の誰かに学んだことを伝えるというのは子どもにとって良い機会です。クラスメイトとは、経験や知っていることの共通の基盤が多くありますが、地域や国が違ってくると、必ずしもそうではありません。だからこそ、相手に丁寧に説明する必要があります。子どもたちのコミュニケーション力、メディア表現力、情報活用力、言語力を鍛える場になります。

 

【事前準備】

・発表スライド/動画/資料

・発表者の姿を写すカメラ/ウェブカメラ

・教室全体をみせる俯瞰カメラ/ウェブカメラ

・ワイヤレスのスピーカーとマイク

・プロジェクターとスクリーン/または電子黒板や大型モニター

 

【教室レイアウトについてのAG5先生アドバイス】

◯発表者が聞き手の様子をみることができるようにカメラを配置します。

 

◯発表者の顔がアップで映し出されるように配置しましょう!たとえば、Zoomであればスポットライトを使うなどがあります。

 

◯高性能マイク兼スピーカーの設置を子どもの輪の中心におきましょう!子どもの声をひろっているかどうかの事前確認も必要です。

 

◯大型モニターに映す場合,光の反射で見えない角度もあるのでブラインドの設置や設置角度を工夫するなどしましょう。 ◯複数の端末を置くとハウリングするため,オーディオをオンオフのルールを子どもたちともしっかり共有しておきましょう。

 

◯一方的にならないように双方向で授業に参加できるように、質問したり意見を述べたりできる環境づくりが必要です。X先生もY先生も発表型授業の場合役割は同じです。発表しやすい環境づくりをします。それぞれの教室の様子をX先生とY先生で状況報告をしながら、双方にとってよい発表環境をつくっていきましょう。

 

 

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