2022.03.02
青島日本人学校における2021年度の取組みと成果
1.目的と概要
本校は、約半数がさまざまな国のルーツを持つ児童生徒であることから、もともと多様性のある環境にある。しかし、児童生徒の傾向として、だんだん学年が上がるにつれて文化的な背景を隠すような場面も見られるため、児童生徒が自分の背景を包み隠さず出せるような関係づくりが大切だと感じている。そこで、背景にある文化や習慣にも目を向け、お互いが尊重し合える関係を構築し、学校生活における共通の課題に対して「日本語」を媒介として対等に話し合っていくためにも、「日本語力の向上」と「多文化共生の学校づくり」の両軸を意識して日々の指導にあたった。
2.取組みと成果
(1)日本語指導
①課外の日本語教室:小1(毎週水曜日)、小2(毎週金曜日)、小3(毎週月曜日)
②『「文部科学省日本語指導が必要な児童生徒を対象とした指導の在り方に関する検討会議」作成の参考資料』の一部を活用し、本校の実態を把握・共有。
③在籍級での日本語指導
(4)AG5テーマ2マニラ・大連・青島合同情報交換会・研究会への参加
5月22日(土)日本時間 15:00~16:30 第1回オンライン情報交換会 (マニラ日本人学校主催)
6月19日(土)日本時間 11:00~12:30 第2回オンライン情報交換会 (大連日本人学校主催)
7月17日(土)日本時間 11:00~12:30 第3回オンライン情報交換会 (青島日本人学校主催)
11月27日(土)日本時間 合同研究会 (マニラ日本人学校主催)
10月23日(土)日本時間 せんせいカフェ(オンライン交流会) ※希望者のみ参加
■成果
(1)多様な学びを支える日本語指導(対象を拡大して実施)
11月より小5~中3までは、一人1台iPad貸し出しを実施。家庭への持ち帰りも可能とした。家庭学習の中で、録音機能を活用した音読指導や発表ツールを活用して資料作成を行うなど、効果的に学習を進めることができた。また、児童生徒の視力低下を防ぐ、iPad自体の破損を防ぐため、ブルーライト保護フィルム・iPadケースを購入し、使用した。今年度は、1月になってからも編入学性が相次いだため、iPadケースを追加で購入し、全ての児童生徒が安心して使用できるようにした。 指導した内容や作成した資料などは、大容量記憶媒体に保存し、いつでも閲覧したり、利用したりできるようにしている。
(2)多文化共生の視点を取り入れた授業実践
様々な教科で多文化共生の視点を取り入れた授業実践を行い、授業後、研究協議を行うことで、教職員の研鑽を高めるとともに、児童生徒のよりよい学びについて考えることができた。研究授業で作成した指導案は、AG5ウェブサイトへの掲載資料として提出した。
(3)実態把握のためのアンケートの実施
<アンケート結果からの考察(一部)>
・年度当初と比べて、学校生活や授業の中で日本語の意味がわからなくて困ったことがある児童生徒の割合が減っている。取り組んできた日本語指導の成果として、児童生徒の日本語力の向上が原因として考えられる。
・自分にはよいところがあると思うという質問に対しては、97%の児童生徒が肯定的な回答をしている。多文化共生の視点を取り入れた学級経営案を作成し、実践してきたことが児童生徒のよりよい人間関係を作り、自己肯定感を高めることに繋がったと考える。
・ほとんどの項目で年度当初よりも肯定的な回答が多くなっている。
(4)学級経営案作成
年度当初に作成した学級経営案をもとに、各担任が学級経営を行うことができた。また、各担任が随時振り返りを行うとともに、学部会などで情報を共有することで生活指導に役立てることができた。
(5)ネットワークを利用した研修会の実施
・日本の学校とのオンライン交流会(小1、小5、小6、中学部)
iPadを活用して、自己紹介を行ったり、中国や青島・日本のことを紹介し合う活動を行うことで、お互いの国や文化についてより詳しく知ることができた。
・現地校とのオンライン交流(小5、小6)
学習した中国語を活用して、お互いのことを紹介したり質問したりすることができた。
・ようこそ先輩(卒業生との交流)
・オンライン企業訪問(中学部)
キャリア教育の一環として行い、進路や高校進学について考える機会となった。
・情報交換会・合同研究会への参加
他校の実践内容や指導の様子を知ることができ、研究を深めることができた。また、意見交換ででた意見や質問から、これまでの実践を振り返ったり、効果的な指導方法についても知ったりすることができた。
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