ページの先頭です。

このページの本文へ移動します。

テーマ2-1.

日本人学校での効果的な日本語教育
対象校:台北、台中、高雄日本人学校      研究期間:2017年度~2019年度

台北日本人学校での日本語補習授業について

台北日本人学校での取り出し授業について紹介します

INDEX

1.台北日本人学校での取り組みについて

日本人学校にも、国内の学校と同様に、日本語指導が必要な子供の在籍が増えてきていますが、その多くは、国際結婚家庭の子供達です。

国際結婚家庭では、家庭によって言語使用の状況が異なりますが、父親が日本人の場合、就学前の子供は母方の言語に触れる機会が多いことが予想されます。使用する言語が、就学前と就学後、そして家庭と学校とで異なる場合、学校生活や学習のいろいろな場面で、子供達に困難が生じる可能性があります。

しかし、幼少期から日本語にも触れて育ってきている国際結婚家庭の子供は、適切な日本語の支援を行うことで、日本語での学習に十分に参加でき、日本語の力を伸ばしていくことが可能になります。

そのためには、具体的かつ計画的な支援が必要です。その方法の一つとして、台北日本人学校では「日語補習(日本語補習)」を、週一回、放課後に35分間、年間約30回行っています。

では、その短くも貴重な時間に、優先的にすべきことは何でしょうか。それは、少人数の子供達と教師がたくさんやりとりしながら、個々の子供の日本語の力を把握する(できること・できないこと、知っていること・知らないこと等を確認する)ことと、この先一週間の学習に参加するための日本語の力をできるだけつけることです。

今回、開発したプログラムは、日本人学校に通う日本語以外の言語背景を持つ子供達が、在籍クラスの学習活動に参加するための日本語の力をつけることを目的としています。 台北日本人学校で行われている「日語補習(日本語補習)」をベースに作成していますが、広く世界の日本人学校に在籍している日本語指導が必要な子供たちに対して汎用的に使用することを想定しています。   

2.このプログラムの概要と使い方

海外に暮らす国際結婚家庭の子どもたちの日本語の課題は多様です。日本人学校に編入学する子どもたちの場合、日本語が全くできないというケースは少ないと思われますが、家庭内での言語使用の割合、また家庭外での「日本語コミュニティ」への参加度合いなどにより、学習活動に参加するための日本語力の獲得の程度は異なるでしょう。

国際結婚家庭の子どもたちは、日本語での日常会話に問題がないため、ことばの問題はないととらえられてしまうことが多いようです。ただ、多様な日本語(書き言葉や文字・表記、相手による言葉の使い分けなど)への接触という点では、両親ともに日本人の家庭に育った子どもとはその経験に大きな差があります。また、低学年では生活場面を取り上げる学習活動が多くみられますが、日常的に使われる言葉であるがゆえに「現地語」しか耳にしたことがない、ということも考えられます。普段、現地の八百屋で買い物をしていたとしても、「やおやさん」という日本語に触れることは決して多くありません。学校で学ぶ「教科用語」は日本語で獲得していても、日々の生活の中で獲得していく語彙については「現地語しか知らない」といった場合も考えられるのです。さらに、日常会話では、助詞を飛ばしたり、文末まで発話しなかったりしても発話の意図は伝わりますが、学習場面では「文・文章」として産出することが期待されます。子どもが「文単位で発話できるが、会話場面なので言わない」のか「意思は伝えられるが、助詞を使って文を構成できない」のかを把握し、もし後者であれば、支援をする必要があります。「これだけ話せるのだから知っているはず」「会話ができるのだから大丈夫」と思わずに「子どもたちのことば」の実態を把握する必要があります。

このプログラムは、こうした点を学級での学習に先行してケアし、日本語母語話者の子どもたちとともに学ぶことを目指しています。日本語の力としては、「日常会話はできるが、学習面では課題がある(会話に問題はないが指示が通らない、質問に対する答えが教師の意図と異なる)」児童を想定しています。プログラムは、国語・算数・生活の3教科のうち、①日本語を母語としない子どもたちがつまずきやすいところ、②支援をすれば十分に在籍学級の学習に参加できるところ、③今後の学習の基礎となるため確実に理解させておきたいところ、の3点を観点として、台北日本人学校の日語補習で行われていた授業内容と国内で外国人児童への日本語支援を長く担当されている先生の意見から、各学年20回分を選択しました。

いずれも基本的には、クラスでの学習に先行して行う形で計画しています。授業後の補習機会も重要ですが、「補習で追いつく」にではなく「準備をすることで日本人児童と一緒に学べる」ことを目指します。「先行学習」を中心に据えることで、そこで身に付けた日本語の力をもって、在籍クラスでの授業に参加し、「わかった」「できた」という達成感や自己有用感を味わってほしいと思います。

活動案は、20分程度で実施できるように組んでいます。先に述べた通り、このプログラムは台北の日語補習を基にしています。一回35分で、授業の前後にアイスブレイクや連絡事項の伝達などの時間も必要であることを想定しています。

ただし、すべての活動案を順番通りに実施する必要はありません。先に述べたような子どもたちの日本語・学習の状況に応じて取捨選択、または修正して使用していただければと思います。その際は、日常会話の力ではなく、各プログラムの目的とする活動が日本語でできるのかを判断の基準としてください。例えば、2年生の「かんさつ名人になろう①」では、展開1の問いに展開3で期待される形で答えられれば、この支援は飛ばしてもかまいませんが、質問意図は理解しているものの単語レベルの返答になってしまうのであれば、「文で答える」という練習は必要であると考えます。同様に「かけざん」では、授業についていくには「~ずつ」を理解しておくことが必要と考え、そのためのプログラムが作られています。ここで「『~ずつ』は普段から使っているから大丈夫」と考えるのではなく、例えば「お皿にみかんを3こずつおいてください」という指示を出して確かめてください。これに独力で答えることができれば、「~ずつ」は改めて取り上げる必要はないと考えてよいでしょう。日本語補習の大切な機会ですから、不要な部分は割愛し、学校行事の事前事後指導、独自の学習活動などを加えていただければと思います。

3.指導のポイント・留意点

日本語指導の経験のない教員の手がかりともなるように、必要に応じて、指導する「語彙」や「日本語表現」等を示しました。

○展開例〈想定した児童〉

「休み時間等の日常会話は母語話者レベルだが、授業中、指示が通らないことがある」「活動には参加しているが、まとめや振り返りが書けない、またはそれを見ると理解していないと思われることがある」といった子供達を想定しています。

○展開例〈日本語のレベル差への対応〉
日本語力がより高い子どもへの指導のヒントは(△)、より日本語に困難のある子供への指導のヒントは(▼)という形で、レベル差に対応できるようにしています。

○教材等

作成者がイメージした教材ですので入手できない場合は現地にあるものを使用して工夫してみてください。

4.日語補習プログラムについて

全体の概要についてはこちらからご覧ください。

【小学1年生の活動案】

国語はこちら

算数はこちら

生活はこちら

【小学2年生の活動案】

国語はこちら

算数はこちら

生活はこちら

コメント