2020.05.18
アデレード補習校のオンライン授業の取組
アデレード日本語補習授業校 校長 東田 孝昭
INDEX
1.アデレード補習校のオンライン授業
アデレード補習校は南オーストラリア州アデレードにある生徒数約150人余り(幼稚部から中学3年まで)の中規模補習校です。現在は日本企業の撤退に伴い生徒の90%は国際結婚、永住者の子女となっています。日本からの教員派遣はありません。
学期はオーストラリアの学年4学期制(1月末2月初から12月中旬まで)を採用し、それに日本の学年を出来るだけ合わせる形で、現地校の2学期の初め5月を補習校の学年始まり、4月上旬を学年終わりとしています。
子どもたちは平日現地校にかよい、土曜日の午前中3時間、補習校にやって来て学習します。
オーストラリアは今年2月より入国、出国制限するなど早くからコロナ対策に取り組み、3月中旬からは緊急事態宣言が発令され実質的に鎖国状態となりました。レストラン、カフェなどの営業停止、集会の人数制限、州境閉鎖などの政策が次々と実施されました。
その成果は十分あり、オーストラリアはニュージーランドと並んでコロナ禍による感染者、死者を少なく抑えることに成功しています。5月中旬には第一次の緩和政策が発表され、今では現地の学校も開校しています。ただし現地校を借用する補習校は6月中旬の第二次緩和まで、オンライン授業を継続する予定です。
3月中旬に緊急事態宣言が発表されたとき、借用校の方から補習校に対して当分週末の校舎利用は見合わせて欲しいと要請がありました。補習校運営委員会はすぐに補習校教育のオンラインによる継続と教職員の雇用確保の方針を打ち出しました。4月下旬の2週間の秋休みを利用して先生がたにはオンライン学習の準備に入ってもらいました。
幸い保護者の中にI Tの専門家がおられ、また補習校教員の中にI T教育が盛んなオーストラリアの学校で働いている者もおり、オンラインに必要なアプリなどの使い方を習得するための教員向け校内研修に協力してもらうことが出来ました。現在オンラインクラスルームにはZOOMとEDMODOを使用しています。職員会議や運営委員会もZ O O Mで行っています。
オンラインでは、特に幼稚部や小学校低学年部では保護者が子どもの横に座って、先生の指示に従って操作したり、課題を確認することが必要になってきますが、
保護者は大変よく協力しています。幼稚部では絵本の読み聞かせなどの動画を作って家庭に送り、日常の生活の中でも利用してもらうことを奨励しています。
5月当初はZ O O MやE D M O D Oに教員、保護者が慣れないことによる、マイナーなトラブルはありましたが、だんだん改善されてきています。多くの保護者は先生がたの尽力に感謝しております。授業はZ O O MとE D M O D Oのコンバインで、Z O O Mの時間は各クラス40分しかありません。あとはEDMODOで先生が課題、宿題を与え家庭と連絡、連携しながらチェック、評価していきます。
補習校を管轄し援助しているE S A S A(南オーストラリア民族学校協会)も、借用校を使用できない場合は、オンラインスクールを積極的に推進しています。また在留邦人に、この時期大変有用な情報を発信し続け、補習校を支援してくださるメルボルン総領事館の松永総領事をはじめとする領事館関係者の前向きな姿勢にも、私たちのオンラインスクールは支えられております。(学校だより参照)
3月に借用校の使用が不可能になった時は、正直言って戸惑いましたが、その後の
教職員の取り組みと貢献、運営委の全面的バックアップ、保護者の理解と協力などを得てオンラインスクールの開講実践を通して、困難な時に皆が団結し問題解決に当たる、いざという時の日本人の底力を感ずることが出来ました。学校側と保護者の関係は、これまで以上により親密になって行ったことを感じます。
とはいえ補習校にとって、学校で先生と生徒が直接向き合って学習するFace to Faceがもちろんベストです。6月中旬の借用校への復帰まで、もうしばらく 生徒、教職員、保護者の皆が力を合わせて頑張っていきたいと思います。
アデレード日本語補習授業校 校長 東田孝昭
資料(AJCS学校だより2020年4月30日号)はこちら
コメント