2022.03.11
パリ日本人学校における2021年度の取組みと成果
1.目的と概要
昨年度に引き続き、日本人学校の教育の質を高めることを目的に、高度グローバル人材の基礎的資質形成 に資する総合学習について、探究学習を核にした単元開発を実施し、汎用性の高いプログラムの開発に繋げる。
研究主題:「世界で活躍するグローバル人材の育成」
2.取組み内容
コロナ禍による学校閉鎖などにより、学習は通常通りに行うことは困難であるため、試行錯誤しながら活動を進めた。4月はオンラインにて学習配信した。
今年度の小中一貫の共通のテーマは「今とオリパラとわたしと未来」とし、年間を通したオンライン講座を計画した。
テー マにかかわる内容を専門的な方から直接聞き、双方向でのやりとりをすることで、子供の興味関心が高まっていく様子が見られ、今後の活動に大きく関わっている。
また、①課題の設定 ②情報の収集 ③整理・ 分析 ④交流 ⑤まとめ・表現といった探究のプロセスの第一段階として、今後の活動の進め方を確認する場とすることができた。
オンライン講座に参加
4月 小3~小6 9:00~10:30、中1~中3 9:00~10:30
南極地域観測隊教員派遣 (パリ日本人学校派遣教員) 水野団
講演「南極を知れば地球が分かる」
5月3日(木) 小1~中3 9:40~11:30
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
スポークスパーソン 高谷正哲 様
講演「東京オリンピック・パラリンピック」
6月2日(水) 小1~中3 9:00~10:20
ロサンゼルスオリンピック体操金メダリスト 具志堅幸司 様
「今とオリパラと私と未来」
10月6日(水)
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組 警備局 小島良一 様
講義「フラワーレーンプロジェクト」
12月10日(金) 小1~中3 9:00~11: 00
東京オリンピック陸上女子1500 m 出場 卜部蘭 様
学びの地図作成
オンライン講座を聞いて、メモしたことをもとに「学びの地図」を作成。
新聞作り・新聞交流会
多角的な見方、 伝達方法、 情報収集、選択する力、探究力などを得る。
パリ日提言フォーラム開催
2月7日(月)
パリ日提言フォーラムミニ部会(10:55 ~12:30) 小1~3年
パリ日提言フォーラムミニ部会(11:45 ~15:00) 小4~ 中3年
2月9日(水)
パリ日提言フォーラム(8:50~12:30) 全学年
3.成果
小学部 低学年
・ウェビングマップの活用が「学びの地図」の基本作りとしても役立った。ま た、言語化を通して、誰かに伝える、伝わるということを 意識することができた。
・池の観察をすることで、 同じ環境が季節によって変化することを体感し、変化を探すという目的意識をもって観察をすることができた。さらに、調べたい、知りたいという主体的な学びのきっかけを作ることができた。
・理由や根拠を書いて伝えることを日常化することができた。
小学部 中学年 ・ 高学年
・ オンライン講座では、外部の講師の生きた経験を通して感情を追 体験することができ、児童の知的な興味・関心を高め、探究学習意欲を高揚させるきっかけとなった。
・「 学びの地図 」 づくりを経験することで、必要な情報をノートに整理して知識を定着しようとする態度の育成にもつながった。また、思考を可視化 することで 、探究のスパイラルを作り出すもとにな った。
・ 新聞交流によって、新しい知識の獲得や新たな課題を生み出すきっかけを作ることができた。
・ 日本とフランスの文化や習慣の違いに触れ、批判的思考を働かせることができた。
中学部
・ 今年度も継続して「 課題の 設定」「 情報の収集 」「 整理・分析 」「 交流 」「 まとめ・表現 」という、探究 のプロセスを意識しながら取り組むことができ た 。
・ 学校として、 「今とオリパラ とわたしと未来」というテーマを設定して取り組むことを決めたため 、多くの学年と見通しをもって交流することができたと考える。
・コロナ禍で、今年度だからできる学びに学校が一丸として取り組むことができた。「フランスに住んでいる」という共通の視点で始まる学習を3年間継続して実施し、生徒に自己の生き方を考えていくための資質や能力を高めていくことの見通しをもたらすことができた。
全体を通して
・児童生徒は学び方について知り、その上で 課題 を よりよく 解決しながら、自己の生き方を考えてい くための資質や能力を高めていくことができた。また、今後のさらなる探究活動の見通しをもつこ とができた。
・「提言フォーラム」を通して、根拠を明確にしながら 自分の考えを他人に伝えることができた。さらに、質疑応答を通して、新たな考え方の発見やそれぞれが批評的な感覚を得ながら活動することができた。ま た、知識 だ けでなく、発想の豊かさを認め合う姿が素晴らしかった 。
・教師が探究のプロセスを意識しながら取り組むことができた。
4.資料
- パリ日本人学校の報告書(PDF)
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