1.高雄日本人学校での取り組みについて
高雄日本人学校では現地の児童に向けて日本語指導を実践しています。
概要については以下の通りです。
- 「日本語指導」の目的:現地の児童が、日本の文化・社会を伝え、日本に親近感を持てるようにする。活動の中で、簡単な日本語を導入し、日本語で簡単なやり取りができるようになる。
- 時間や体制:小学校5、6年生を対象に、年に3時間の授業を行う。(1コマ45分)。
- 6年生は前年度に3時間の指導を受けていると想定されるものの、年に3時間の授業であることからあまり多くを習得しているとは考えにくい。
(日本語指導が中心課題ではないので)積極的に現地語を使用して差し支えない
2.本「日本語指導:活動案」について
本指導における活動案は以下の通りです。
高雄日本人学校において使用されてきた指導案+パワーポイントをもとにしている。
高雄では現地語の使用を前提として作成されているが、地域によっては現地語の使用が困難な場合も想定される。このため、特に6学年では、直接法(日本語を使って日本語を指導する)による指導を想定して加筆修正した。
一方、5学年の指導については、高雄の指導案を基本とし、その他の活動例などを掲載することとした。
活動案作成の考え方として、「日本」「日本語」に触れる機会を提供することを第一義とし、日本語については「指導する」より、「『日本語で言えた』という満足感」を重視している。このため、文法・発音の正確さや「です・ます調」での発話は要求しないこととした。
同様に、海外の子どもたちに日本への興味関心を抱いてもらうには、イラストによる提示より写真や実物を使うのが望ましいと考える。
なお、現地における日本に関する情報量と、現地語へのアクセス(現地語に翻訳できる人材、教員の現地語能力)によって指導できる内容は変わってくる。日本になじみはなくても、「珍しい言語」としての日本語に関心を持つこともある(高学年の場合)。
現代日本社会を伝えること、日本語に触れてもらうことのどちらが現地の子どもたちにとって関心があるかを見極めて「学習項目」を選択する必要がある。
「活動案」の使用に当たって
- 指導の展開に合わせ、現地の子どもたちにふさわしい写真や実物などを使用することが望ましい。 難しければ添付のイラストを参考に、スライド等を用意する(「指導上の留意点」に使用するイラストを【 】で示した)。なお、現在、イラストには日本語が使用されているが、先述の通り、スライドやワークシートに母語(現地語)による指示や説明をすることは差し支えない。また、文字の提示が必要なければひらがなを削除するなどの工夫をしてほしい。
- 提示する日本語については、あくまでも「日本語に触れる」ことを第一とするため、常体でのやり取り、助詞の省略等については可としている。現地のニーズに応じて調整が必要である。
- 指導上の留意事項については吹き出しで、指導を考える上でのヒントやその他の可能性などは枠内に記述した。
日本語指導の全体に関する資料:
高雄日本人学校「日本語指導」について(PDF)
教 材:
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