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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2020年12月:算数科の遠隔合同授業における工夫

報告:サンホセ日本人学校 宝力駿
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理

サンホセ日本人学校(以下:サンホセ)と、アグアスカリエンテス日本人学校(以下:アグアス)の2年生は、算数科で遠隔合同授業を実施しました。サンホセからは2名、アグアスからは8名の児童が参加し、単元を通して5回実施しました。今回は5回目に行った研究授業についてご紹介いたします。

 

この授業では、授業支援アプリケーションであるロイロノートスクールとWeb会議システムZoomを併用しました。本時の目標を「ものの数の求め方を、乗法九九を総合的に活用することで工夫して考え、表現することができる(思考・判断・表現)」と設定し、箱の中に不規則に並んでいるチョコレートの数を、かけ算によってより簡単に数えることができる方法を解明させる活動を行いました。

 

本校における研究の重点目標は「ICT機器を効果的に活用し、児童の対話的な学びを充実させる」です。これを達成するための手立てとして、遠隔授業におけるジグソー学習(学習者同士が協力し合い、教え合いながら学習を進めていく学習方法の一つ)を実践しました。まず、チョコレートの配置の異なる「箱A」と「箱B」という2つの課題を用意し、双方に振り分けた児童にそれぞれの解法の見通しをもたせます。その後、「箱A」と「箱B」の児童を同じグループ(小集団)にして話し合わせたり、さらに別のグループと意見を共有する場面を与えたりすることで、多様な考え方に触れさせることができました。それだけではなく、この活動を遠隔授業で行うためにZoomのブレイクアウト機能(大人数でミーティングをしている時に、そのメンバーを少人数に分けて、それぞれで話し合う機能)を活用し、実態に応じたグループ編成を行い、サンホセ・アグアスの教員をそれぞれのグループに割り当てることで、グループ活動の支援もきめ細やかに行うことができました。

 

また、この遠隔合同授業では一人に1台のiPadを配付し、ZoomをつなぐためのPC以外に、iPadでロイロノートを活用するといった環境を設定しました。このようにロイロノートを活用することで、ワークシートの配付だけではなく、ワークシートに直接書き込んだり、互いに書き表した意見を比較・提示することが可能になりました。

 

対話的な学びを充実させるための一つの手段として、集団の規模を変えながら話合いを設定することが挙げられます。少人数からの対話を重ねながら、自分の考えをより整理したり、構造化したりすることができると考えます。また、発言する自信にも繋がります。ジグソー学習により、45分という時間の中でも何度も意見を聞き合う時間を設けることができました。こうした多くの考えに触れ、伝え合う活動を通して、子どもの思考の深まりが確実にみられたことは、本校単独では難しかったことなので、教員・児童共に大変満足しています。


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