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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2022年1月:サンホセ日本人学校 3年間の遠隔合同授業の振り返り

報告者:サンホセ日本人学校 川上 隆 校長先生
ヒアリング:AG5研究補助員 関 温理

最後の月は、川上校長先生にこれまでの研究を振り返り、感想をお話して頂きました。

 

① 3年間の遠隔合同授業の実践研究を通しての感想を教えてください。

 

私は、研究2年目の4月にサンホセ日本人学校(以下:サンホセ校)へ赴任予定でした。ところが新型コロナウィルス蔓延のため赴任が大幅に遅れ、赴任できたのは昨年の1月でした。それまでの約1年間、日本の自宅からZoomでサンホセ校と繋ぎ、研究にも関わってきましたが、初めての事ばかりで最初は戸惑いも沢山ありました。そんな時、サンホセ日本人学校の同僚の先生たちにたくさん助けて頂きながら、一歩一歩研究を進めてきました。

 

AG5の研究の中で感じた一番の喜びは、アグアスカリエンテス日本人学校(以下:アグアス校)の子どもたちと繋がることができ、本校の先生や子どもたちの学びの場(興味・関心・意欲等)が広がったことです。本校は、1学年1学級(1〜3名)のため、授業中、子どもたちは先生とのやりとりが中心になります。しかし遠隔合同授業ではアグアス校の子どもたちと一緒に学習することで、多様な意見に触れることができるようになり、相手の話を聞くことや伝えることを楽しむ子どもたちが増えました。

 

また、これまでの対面授業ではなかなかできなかったことが、遠隔授業では可能になりました。それは出前授業です。様々な職業の方に日本から遠隔授業をして頂くことで、子どもたちの世界を広げることができました。通常とは違うコミュニケーションによって、知識・技能を活用し、思考・判断・表現を繰り返すことで学びがより深まりました。

 

 

② 一番印象的だったことはなんですか?

 

一番印象的だったことは、先生たちの創意工夫による頑張りです。研究を進める上で、先生の授業準備や打ち合わせの時間の確保など、対面授業よりも準備面で大変なことはたくさんありました。しかし、研究主任を中心に、全員が協力し研究を推し進めることで、困難を乗り越えることができました。

前述しましたが、私は校長でありながら先生たちに引っ張ってもらい、たくさん助けてもらいました。どちらかというと足を引っ張る私が、チームで頑張る先生たちと共に研究に関われたことがとても嬉しく、今は感謝の気持ちでいっぱいです。

 

③ 今後継続的に、遠隔合同授業に取り組めるようにおこなった工夫はありますか?

 

研究主任がアグアス校と相談し、3年目に取り入れた二つの方法です。

一つはアグアス校と合同研修会を行う際に低学年・中学年・高学年・中学部とそれぞれの部会に分け、遠隔合同授業について話し合ったことです。これまでは、一同で行なっていたためなかなか個別で先生方と話す機会が取れない状況でした。部会ごとで研修を行い、遠隔合同授業について話を進める中で、アグアス校の先生方との心の距離が縮まり、研修の中でざっくばらんに話すことができるようになりました。

 

二つ目はアグアス校の先生方との連絡手段としてGoogle Chatを導入したことです。この機能を導入することで、これまで時間をかけていた授業の相談や情報交換が気軽にできるようになりました。そうすることで遠隔合同授業に対するハードルが下がり、取り組みやすくなりました。

 

 

④ 3年間の実践研究を通して今後挑戦したいことはありますか?

 

今後は、この3年間の知見をより多くの中南米の日本人学校へ広めていきたいと思います。そのためには、まず私たちが遠隔合同授業を継続する必要があります。AG5の研究は今年度で終わりますが、引き続きアグアス校や、パナマ日本人学校と「続ける、拡げる、深める」をモットーに研究を続けていこうと思っています。そして、これまで大切にしてきた「気軽に楽しく、やりたい!」と思えるような取り組みになるように、先生方と協力して研究を進めていきたいです。

 

また、時差の少ない中南米13校の日本人学校とも、本校とアグアス校のような関係が構築できたらと考えています。私は来年度、中南米校長会の「研修」担当になったので、新年度の校長会(Zoom)で今後の遠隔合同授業の取り組みについて提案する予定です。