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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2020年9月:サンホセ日本人学校「授業用ルーブリックの紹介」

報告:サンホセ日本人学校 宮本豪先生 <担当教科:国語(中)・社会(全)・図工(全)・美術・道徳(中)>
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理
問い:ルーブリックの活用

本校では、遠隔合同授業において児童が何を、どのように学べば良いかを明確にイメージできるように、ルーブリックを導入しました。そこで、今月は授業で利用しているルーブリックを紹介します。

 

授業にルーブリック(授業において目指すべき到達度)を取り入れた目的は3つあります。

1つ目は、児童・生徒が見通しを持って学習に取り組めるようにするためです。

目指すべきゴールがはっきりすることで課題解決に向けて視点を定め、自身の答えや考えを深めることができた児童生徒が多くいました。その結果、目標を達成できる児童・生徒が増えました。

 

2つ目は、学ぶ理由を理解して自己のパフォーマンスを振り返れるようにするためです。

今までは、「どうしてこれを学ぶのか」「どこまで深めたらいいのか」など、児童・生徒が抱く不透明な部分がありましたが、彼らが自ら考え、ルーブリックを作成することで上記のように感じる児童・生徒が格段に減りました。

それだけでなく、学ぶ理由を理解することで学習に取り組む姿勢が意欲的になりました。

 

3つ目は、教師側が適切に児童の到達度を評価するためです。

目指すべきゴールがはっきりすることで、教員自身も何を評価すべきか悩むことがなくなりました。適切に評価ができるようになっただけでなく、指導の改善にも生かすことができました。

 

さて、このルーブリックは授業だけでなく、特別活動や行事等においても活用しています。ここでは小学部1年生の授業「おむすびころりん」を紹介したいと思います。このルーブリックは音読の練習開始前に作成し、2つの点を工夫しました。

 

まず1つ目は、表記を工夫した点です。ルーブリックの基準を示す際には、A・B・Cまたは、S・A・Bなどの表記が使われることが多いのですが、学習内容の価値より評価にこだわりが生まれないようにするために表記の仕方を工夫し、以下のように達成度を象徴化した図で表すようにしました。こうすることで児童が目標として捉えやすくなり、楽しみながら意欲的に音読に取り組むことができました。

 

「おむすびころりん」の音読の際に用いたルーブリック

 

次にルーブリックの設定の際に児童の声に耳を傾け、彼らの意見を取り入れたことです。

教師だけがルーブリックを作成し提示するのではなく、児童と一緒に作成することで児童がより主体的に活動に参加することができます。この授業では、音読の練習を繰り返している間に、最も高い目標として設定していたものよりも一つ上の評価基準を児童が考え、発表したのでそれを追加することにしました。

 

このように形に囚われることなく、児童生徒の意見を取り入れ、その都度オリジナルのルーブリックを作成することで子どもが主体的に学びを得ていくことができると考えます。