ページの先頭です。

このページの本文へ移動します。

テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2020年10月:サンホセ日本人学校「遠隔合同授業における工夫」

報告:サンホセ日本人学校 宮本豪先生 <担当教科:国語(中)・社会(全)・図工(全)・美術・道徳(中)>
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理

サンホセ日本人学校(以下:サンホセ)とアグアスカリエンテス日本人学校(以下:アグアス)の5年生は、2週間に渡り6回(オリエンテーションを含めると7回)、遠隔合同授業を行いました

小学部第5学年のサンホセ1名(Aさん)、アグアス2名(Bさん、Cさん)を対象に、社会科における「これからの食料生産とわたしたち」の単元に取り組みました。

 

1つ目の工夫は、児童一人に一台のiPadを配布し、授業支援アプリケーションである「ロイロノートスクール」をZoomと併用して使用したことです。ロイロノートスクールでは、ワークシート等の配布や回収,比較提示などを行うことができます。また、考えを記述し、互いに送り合ったり、資料を共有したりすることも可能です。Zoomを使用する端末と、ロイロノートを使用するiPadを手元において、授業を進めていきました。

こうした環境を整えることで、実際の教室で行えることを遠隔授業においてもある程度可能にすることができました。また、遠隔授業においても双方向のやり取りがし易くなったため、協働学習を行いやすくなり、オンラインアクティブラーニングを支える柱になったと思います。

 

 

2つ目の工夫は、児童を主体として授業を展開するための手立てです。

児童同士が直接的に関われるように、できるだけ教師が介在しないように関わるようにしました。

サンホセのAさんは授業ではいつも教師と一対一で関わっていたため、オンライン上で初めて会う人に意見を伝えたり、話合いをしたりすることは難しいようでした。そこで教師ではなく、子どもがファシリテーターをするルールをつくりました。これを本実践では、子どもファシリテータシステム(以下:CFTシステム)としました。

 

毎回の交流場面でファシリテーターを決めて、その子どもがファシリテーターになって、話し合いを進めます。子どもがファシリテーターとして振る舞えるように、話の進め方や心構えをまとめた資料を事前に共有しました。交流初期では、児童は資料をみて進めていましたが、授業を重ねるごとに、即興的に話し合いを進めていく事ができるようになりました。

 

このCFTシステムの良い点は、教師から意見を聞かれるよりも、児童同士で意見を出し合う方が、児童が自身の意見を言うハードルが下がるということです。最初の頃は、児童の話合いがなかなか進まず、教師が介入することもありましたが、だんだん子どもたちだけで話す事ができるようになりました。また、ファシリテーター経験者には話合いの仕方や視点が備わり、ファシリテーターを務めない場面でも積極的に話合いを展開することができるようになっていきました。

このように、CFTシステムを導入することで、少しずつですが子どもたち同士で話合いを活発に深めていく事ができるようになりました。

 

~次回は、授業で取り入れた話合いの思考法や、独自のシンキングツールについてお話ししたいと思います。~

 

PDFはこちら