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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2020年7月:サンパウロ日本人学校「いざ!リオとのビブリオバトル」

報告:サンパウロ日本人学校 曽川和則 校長先生
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理

サンパウロ日本人学校が研究に参加した理由は、未来の教育のあり方として、ICTを活用し教育活動を行うことは非常に重要であると感じたからです。遠隔授業は、遠くの人と顔を合わせて交流ができるだけではなく、今まで知らなかった人、知識、技術、人の営みや暮らしに出会えます。そのため、子どもたちは遠隔授業を通して、他の人の価値観を知り、自分がどう対応するべきかを考え、新たな自身の考え方に出会う事が可能になります。

 

現在、本校はリオデジャネイロ(以下:リオ)日本人学校と連携して研究を進めています。私たちは、「多様性を受け入れ協働できる、柔軟で豊かなコミュニケーション力を持つ子どもを育てること」を目標としています。

 

そこで、私たちは主にリオ日本人学校と合同授業、合同教員研修、そして教員の相互の授業参観に取り組みました。今回の報告では、リオ日本人学校との合同授業の実践として、「ビブリオバドル」を紹介します。

 

「ビブリオバトル」とは、みんなで気に入った本を一冊ずつ持ち寄り、その本の魅力を順番に発表し紹介、そして、その発表内容について議論したり質疑応答をしたりして、その本の内容の理解を深め、最後に参加者全員が一番興味を持ち読みたくなった発表を投票する活動のことです。

 

本学とリオ日本人学校との合同授業では、これをオンラインで実施しました。ビデオ会議システムで発表者の画面を固定し全員が発表をじっくり聞けるようにしました。

また、今回の「ビブリオバトル」では、ブレイクアウトルーム機能は使用していませんが、オンライン授業等では少人数グループの話合いを仕組むためにこの機能をよく使用します。リオ校との合同教員研修でもよく使っており、今後の活動の中で子どもたち同士の交流にも使っていきたいと考えています。

 

本学とリオの合同授業の課題は、子どもの人数の違いです。ビブリオバトルの取り組み事例では、本学の子どもは約20人ですが、リオ日本人学校の子どもは2人でした。人数の違いから最初はリオの子どもたちは少し緊張しているようでしたが、導入でアイスブレーキングをするなどして、子どもたち同士が打ち解けて授業ができるようにしました。

 

第1回目のオンラインでのビブリオバトルでは、サンパウロ日本人学校の子どもたちのみが発表しましたが、授業終了後は、リオ日本人学校の2人の子どもから「次回は自分たちが発表したい!」と声がでました。

オンライン合同授業のあとの自由時間も、子どもたちは楽しそうに会話をし、交流を深めていました。私は遠隔授業を始めた時は、対面と同じように子どもに、子ども同士が認め合い、学び合い、深め合うことができるかと不安に思っていましたが、このような子どもの様子をみて、遠隔授業の可能性を感じました。

 

オンラインビブリオバドルは、「国語」の時間に実施しました。今後は生徒会活動の時間(学活)や総合的な学習の時間での活用も計画していきます。そして、引き続きリオ日本人学校と様々な教科・領域等で連携しながら遠隔授業を行っていきます。

7月16日(木)には、『ビブリオバトル』第2弾として、サンパウロ日本人学校生徒の発案で「読みたい本」を「見たい映画」に置き換え、『ムビリオバトル』(映画はムービー)を実施します。リオ校から中学部生徒、先生方も参加します。

オンラインでの合同授業の設計の際、双方の学校の担当教員が到達目標と活動内容を明確に共有できるように、ゴール階層図を作ったり、子どもたちの成長のプロセスをとらえていくためルーブリックを導入したりするなど、AG5のオンライン研修で学んだことも生かしていきたいと思います。

 

【添付資料①】

 

【添付資料②】