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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2020年12月:サンパウロ日本人学校「教師の介入の必要性」

報告:サンパウロ日本人学校 大谷文人 先生(社会科、小学校全科)
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理
問い:研究授業に向けての遠隔合同授業について

リオデデジャネイロ日本人学校(以下:リオ)と、サンパウロ日本人学校(以下:サンパウロ)の小学部高学年は、月に数回遠隔合同授業を実施しています。

サンパウロからは5年生8人、リオからは4〜6年生の6人が参加しています。

科目は総合的な学習で、テーマは「サンリオ(サンパウロ・リオデジャネイロ)発見プロジェクト」です。

最初の授業では、児童にアンケートを取り、サンパウロやリオデジャネイロについて知りたいことを調査しました。

その結果を踏まえ、①自然 ②観光・食べ物 ③歴史・行事 ④生活の4つのグループを作成し、それぞれが調べ学習を始めました。

 

二度の遠隔合同授業を通して得られた知見のひとつは、グループワークにおける教師の介入の必要性です。

その理由は二つあります。

一つ目は、児童間同士の会話を始めるきっかけを作るためです。オンラインで初めて会う人の前で、会話を始めることは容易なことではありません。ましてや、異学年がいるグループの中で戸惑う児童も多かったでしょう。

授業の初めに、アイスブレーキング(緊張をほぐし、心の距離を縮める活動)を行いましたが、グループに分かれるとなかなか児童から言葉がでてこない状況でした。

そこで、教師は会話を始めるきかっけとなる質問をいくつか児童に投げかけることにしました。すると少しずつではありますが、児童間同士の会話が増えていき、授業の終盤ではほとんど教師が会話に入らなくても、児童たちだけで調べ学習を進めていくことができるようになりました。

 

二つ目は、通信の問題が起きた時に対応するためです。遠隔合同授業を行う際、通信問題は懸念材料の一つです。

本授業では4つのグループでそれぞれインターネット回線を繋ぎ、授業を進めました。その際、会話の途中でインターネット回線が急に切断されてしまうことが何度か起こりました。長時間相手校の児童との通信が途絶えてしまうと、集中力が切れてしまったり、会話が途切れてしまったりすることが起きるかもしれません。そのためインターネット環境に左右されずに、円滑に交流を進めるためには、通信問題が起きた時にすぐに対応ができる教師が各グループに一人は必要ではないかと感じました。

 

このようにより良い遠隔合同授業を目指し、毎回試行錯誤を重ねています。

今後も両校連携を取りながら研究を進めていきたいと思います。