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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2021年1月:サンパウロ日本人学校「パネルディスカッションで交流」

報告:サンパウロ日本人学校 金古和美 先生(中学部国語科)
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理
問い:国語科の実践報告

サンパウロ日本人学校(以下:サンパウロ)と、リオデジャネイロ日本人学校(以下:リオ)の中等部は、2021年に入ってから4度の遠隔合同授業を実施しました。

科目は「国語科」で、サンパウロからは中学一年生14名、中学二年生1名、リオからは中学一年生1名がそれぞれの教室から参加しました。

サンパウロとリオの遠隔合同授業の特徴は、中規模校と小規模校によるもので、参加する生徒数の違いを考慮した授業展開に挑戦をしています。

単元名は、「討論をしよう。『ブラジルに紹介したいものについて』〜パネルディスカッションで思考を深める〜」です。

パネルディスカッションとは、討論形式の一つで、掲げられたテーマについて、異なる意見を持った複数の討論者によって、公開で討議を行うことです。

(1)テーマを決める

(2)班に分かれて視点を決める(ものにするのか、文化にするのか、サービスにするのかなど)

(3)議論の結果でパネルディスカッションを行う

(4)全体での意見交換

というのが、授業の流れです。

全体のプロセスを通して、生徒らが他の生徒の考えと出会い、自分のものと比較することによってそれを深めることをねらいとしました。

 

 

 

 

このような授業は、少人数の学習環境ではなし得ません。そこで、合同で行うことことにしました。生徒を4つのグループに分け、それぞれグループでテーマを決定し、それについて議論しました。最後にパネルディスカッションでは、各グループのパネリストが中心となってまとめたスライドをもとに議論をし、その後全体で意見交換を行いました。

 

生徒の活動を活性化するために行ったことは、生徒の関心に基づいて具体的なテーマを選択させたことです。授業では大テーマである「ブラジルに浸透させたい日本のもの」を教師が提示しましたが、具体的なテーマをチームで考えさせました。

4チームが選んだ具体的なテーマは①文房具 ②掃除用具 ③生活用具 ④サービスでした。

教師が具体的な内容まで決めてしまうと、生徒は受け身になってしまい、主体性がなかなか発揮されません。生徒が自分たちで決めたテーマであれば、責任を持って活動に参加すると考えました。

その結果、予想したとおり、生徒は「ブラジルに浸透させたい日本のもの」について自分の意見をどんどん出しながら、活発的に討議をしました。

 

本合同遠隔授業を実施する上で、授業者としての私は安心して授業に集中することができました。なぜなら、同僚の教師らが事前および授業の最中に、授業が円滑に進むようにICT環境づくりを手伝ってくれたからです。

相手側にこちらの声が相手にきちんと聞こえているのか、カメラの位置は正しいか、ハウリングはしていないかなど、確認しながら授業を進めることは容易ではありません。また、本時ではWi-Fi環境やグループに分かれてのパネルディスカッションを考慮し、パソコンを3台準備しましたが、これらの動作確認や生徒の支援も授業をしながら確認するのは大変困難です。本授業のように教師間の連携のもと遠隔合同授業を実施することの重要性を確認できました。

今後も、知見を重ねながら研究を進めていきたいと思います。