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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2020年7月:リオデジャネイロ日本人学校「AG5に参加したきっかけ」

報告:リオデジャネイロ日本人学校 吉村正浩 先生(研究主任、小学4年国語、小学4年・中学1・3年の理科担当)
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理

リオデジャネイロ日本人学校(以下:リオ)がAG5に参加しようと思ったきっかけは、2つあります。

ひとつは「高度グローバル人材の育成」というAG5が掲げている目標と、本校の目標が合致したためです。

もうひとつは遠隔合同授業を通して、より良い教育活動を実現したいからです。

 

本校は小規模の日本人学校であるため、教員数、生徒数が少なく、子ども同士が多様な意見を聞いたり、同学年で話し合ったりするのが難しい状況です。それは、教員も同じで、校内では、同学年や同じ教科の教員と話す機会がありません。

そこで、インターネットを通して異なる地域や国の学校との交流を図ることで、グローバルな観点を持ちながら、教室の枠を超えた対話的な授業実践や教員研修を試みることにしました。

それを実現するために、子どもたちが多様な意見に触れたり、話し合ったりすることを重視しました。また、私たち教員も、同様の学びの経験が必要です。そこで、私たちは、サンパウロ日本人学校の教と連携し、互いに授業を参観したり、合同で研修会を実施したりするなどしました。

 

遠隔合同授業を始める前に、本校校長と私は、サンパウロ日本人学校を訪れました。相手の先生方と意見交換をし、年間計画を立て、遠隔合同授業でプログラミングの授業と道徳の授業をすることに決めました。

何度も意見交換と準備を重ね、5ヶ月後、リオの中学3年生2名とサンパウロ日本人学校の中学3年生6名の生徒を対象に、両校の教員がティーム・ティーチングで、プログラミングの授業を行いました。

  

具体的には、文部科学省のプログラミング教育の教材として推薦する「Scratch 猫から逃げるプログラムを作るゲーム」を使用し、教材にそってプログラムを作成しました。その後、学んだことを土台に、発展的なプログラミングに挑戦しました。

その他にも、リオの教員がサンパウロの小学校5年生を対象にゲストティーチャー型で遠隔合同授業、2校合同プログラミング教育教員研修、さらにはリオの小学5、6年生とサンパウロ日本人学校の小学5年生を対象に合同道徳授業などを実施しました。

 

ところで、インターネットでつなぐと言っても双方ともに全く経験がありませんでした。そこで、まずは身近なLINE、Skype、Google Meetを使用し、職員室同士をまずはつないでみました。そうしているうちに、遠隔でつなぐことに関する課題を見つけることができました。

解決方法について試行錯誤しましたが、ビデオ会議システムについて徐々に理解し、手順や画面操作にも慣れ、遠隔合同授業を実施する準備ができました。

 

その後、AG5のオンライン研修を受け、遠隔教育についての情報、ホワイトボードや画面共有機能など遠隔合同授業で活用できる様々な機能を知りました。

現在では、新型コロナウイルスの感染拡大による休校措置のため、ビデオ会議システムZoomを利用しながら、オンライン授業を実施しています。

 

また、リオとサンパウロ日本人学校の全教員による合同研修会を実施し、各学年や教科、各校の教育について情報交換をしています。両校の代表者による担当者会議を定期的に実施し、研究実践について相談もしています。両校のオンライン授業を見合うことからはじめ、遠隔合同授業についての話し合いを進めています。

 

このように、少しずつではありますが、2校の遠隔合同授業が着実に進んでいます。そして、私たち教員が期待していたように、より良い教育活動につながっています。引き続きサンパウロ日本人学校とは、連携をとり、実践および研究を進めていきたいと思います。

 

参考文献

Scratch 猫から逃げるプログラムを作るゲーム

 

【添付資料】