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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2020年8月:リオデジャネイロ日本人学校「プログラミング授業の目的」

報告:リオデジャネイロ日本人学校 吉村正浩 先生(研究主任、小学4年国語、小学4年・中学1・3年の理科担当)
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理
問い:具体的な取り組みについて

8月の報告では、サンパウロ日本人学校(以下:サンパウロ)中学3年生6名と、リオデジャネイロ日本人学校(以下:リオ)中学3年生2名のプログラミング教育の合同遠隔授業について紹介したいと思います。

 

私たちは、サンパウロとの中学3年プログラミング合同遠隔授業を、昨年度3回実施しました。1回目は顔合わせをし、お互いの自己紹介を行い、2回目はサンパウロの学校の実践に私(吉村)がゲストティーチャーとしてScratchで図形を描くプログラムを作る、初回の基本的なプログラミングの遠隔授業を行いました。その後、自身の学校(リオ)でもプログラミングの授業を行い、3回目にそれぞれの学校で学んだことを活かして、Scratchで簡単なゲームのプログラムを作る合同遠隔授業を行いました。

 

この授業の目的は二つあります。

 

一つ目は、生徒にとって初めてのプログラミングだったため、自分なりに工夫をして、プログラミングをする喜びや達成感を体験させることでした。そこで、この目的を達成するために、プログラムの手順を書いたシートを事前に全員に渡しておいて困った時にはそれを見て対応できるようにしました。特に、ゲストティーチャーとして授業をする際には、一人ひとりの進捗状況を確認するのは困難です。そこで、このシートを用意し、それでもわからない場合は、共有画面機能やチャット機能を使用し、質問をしてもらうことにしました。そうすることで、どんどん先に進みたい生徒と、ゆっくり学んでいきたい生徒の個人差に対応することができ、生徒の満足度が高かったように思います。

 

そして二つ目は、プログラミング的思考の育成です。プログラミング的思考とは、「自分が意図する活動を実現するために、どのような動きの組み合せが必要であり、どのように組み合わせ、改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」です。3回目の合同遠隔授業ではどのように工夫することで、問題が解決できるのかを個人で考えさせ、その後Zoomのホワイトボード機能を使用し、個人のアイデアを全体で共有しました。ネコにつかまらないようにネズミを家に誘導するゲームで、もっと楽しくするには、もっと難しくするにはどうしたらよいかのアイデアを出し合いました。例えば、「ネコの動きを速くする」、「ネコの数を増やす」、「家を小さくする」など、たくさんのアイデアが出ました。そして、そのためにプログラムのどこをどのように変更するかを考えました。そうすることで、他の人のアイデアを実際にプログラムに活かすことができた生徒や、自身が想像もしていなかったようなアイデアに出会えた生徒もいました。一人では解決できなかった事が、仲間と話し合い、意見を交換することで、学びが深まり、問題解決に繋がったのです。

 

合同遠隔授業を進める上で、私たちは、一人1台の作業用パソコンだけではなく、別のパソコンを準備することの重要さを実感しました。たとえば、一人1台のパソコンでは、生徒がプログラミングをしている画面を把握し、別のパソコンでは、生徒たちの顔や全体の状況を確認できるようにしました。このように、プログラミングの画面と生徒の様子を別々に確認できるようにすることで、生徒の理解や状況にあわせて授業を展開することができました。また、パソコンやタブレットなどの端末を別に準備しておくことで、1台のパソコンにトラブルがあったとしても、別のパソコンで対応できるため、リスクマネージメントにもなります。このように、合同遠隔授業を進める上で、円滑に進められるようにするための環境も重要だということが実践を積み重ねることでわかりました。