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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2021年1月:リオデジャネイロ日本人学校「今年度を振り返って」

報告:リオデジャネイロ日本人学校 吉村正浩 先生(研究主任、小学4年国語、小学4・6年・中学1・3年の理科担当)
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理
問い:今年度を振り返って

1月は、今年度のリオデジャネイロ日本人学校(以下:リオ)とサンパウロ日本人学校(以下:サンパウロ)との遠隔合同授業における実践の成果についてお話したいと思います。

 

成果の一つは、本校の子どもたちが他校の子どもたちと一緒に学べたことです。リオは小規模校のため、なかなか多様な意見に触れる機会がありませんでした。そこで、他校の子どもたちと遠隔合同授業を通して一緒に学ぶことで実現した2つのことを具体的に紹介したいと思います。

 

一つ目は、相手意識を持って取り組み、話し合い、発表することができたことです。

本校のような一人学級が存在する学校において、相手意識を持つことができる場や環境を準備することは容易なことではありませんでした。そのため、遠隔合同授業がスタートしてすぐの頃は、話が止まってしまったり、どのように返答したらいいのかわからなくなってしまったりすることがありました。

そんな時は、皆で相手意識を持つことについて考えたり、教師がアドバイスを行ったりしました。具体的には、会話が途切れないように、自分の意見を述べた後に「〇〇さんはどうですか?」と尋ねたり、話が止まってしまった時は、前に話した人の話の内容の一部を繰り返して自分の意見を付け加えたりすることでした。

 

新型コロナウィルス感染症予防でマスクを着用しているため、相手の表情が分かりにくい際は、ジェスチャーなどを使って反応することが大切だということも学びました。

このような遠隔合同授業での学びを校内でも活かせるように、私たち教師は、普段から異学年や教師との関わりの中で、相手意識を持つことができるような声かけを児童生徒にしてきました。

このように、遠隔合同授業での学びを通常の授業で生かし、通常の授業での気づきをまた遠隔合同授業で生かせるように、教員間で連携をとりながら進めてきました。そうすることで、少しずつではありますが遠隔合同授業の時だけでなく普段の学校生活でも相手意識をもって取り組めるようになってきました。

 

二つ目は、相手意識の次のステップとして、リオとサンパウロの子どもたちが遠隔合同授業を重ねていくことで、子どもたちのコミュニケーション力が高まってきたことです。

交流が始まった頃は、なかなか会話が続かず、授業終わりの振り返りにも「不安、私が話さなくてもいいかな」と書いている子どもたちもいました。コミュニケーションの機会を増やして不安を少なくすることや意識的なコミュニケーションが必要になる場を設定しました。

例えば、相手の発表をただ聞くだけではなく、そこで知ったことをクイズにして、他の人に尋ねるようなアクティビティをしました。そうすることで、少しずつではありますが、必然的に会話が必要になり、コミュニケーションを楽しむ子どもたちが増えました。それに伴い、子どもたちの振り返りも前向きになり、「話したり、自分と違う意見を聞いたりするのが楽しい。学校以外の人と交流できてすごく嬉しかった。」と意識の変化が感じられました。

 

このように、子どもたちは、協働することの楽しさを感じ、だんだんと積極的になっていきました。来月は教師の変化に関して紹介したいと思います。