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テーマ7.

ICTを活用した遠隔での教育の質向上のための プログラム開発

2021年5月:サンパウロ日本人学校「ICTが苦手な先生も合同遠隔授業!」

対談:サンパウロ日本人学校 高橋先生
ヒアリング:AG5研究補助員 関温理

学校全体で取り組むためにICTが苦手な先生方にどんな働きかけをしたのかをサンパウロ日本人学校の高橋先生にきいてみましょう!

 

(1)ICTが苦手な先生方にICTを身近に感じられる工夫としてどのようなことをされましたか?

 

ICTを身近に感じられる工夫として主に二つの取り組みをしました。

 

ひとつは、新規派遣の教師向けの研修会です。遠隔合同授業を初めて経験される方もいますので、Zoomをオンライン授業で使用する際の基本的な操作方法や、教材をクラウド上で保存・送受信する方法など、改めて全職員で共有できるようにしました。

 

もうひとつは、それぞれの学部間(低学年部・高学年部)で日常的に機器の使用のあり方などの交流です。日常的な交流では、ICT活用における日々の実践での困りごと、たとえば、プレゼンテーションソフトウェア(例えばPowerPointやKeynote)をホワイトボードとして使用する方法や、Zoomで動画を共有する際に音声を同時に共有する方法などを、教師全員で解決してきました。

 

 

(2)その工夫をして、何か変化はありましたか?

 

主に二つの変化を感じております。

 

一つ目は、教師の授業をみる視点の変化です。教師間でオンライン授業の様子を交流する際、授業を始めた頃は機器やソフトの使い方についての話題に偏りがちでしたが、次第に子どもの様子や教材のあり方について話が弾むようになりました。それだけICTを使いこなす技術が身についてきたと感じています。

 

二つ目に、教師が子どもの実態に合わせてオンライン授業を実践できるようになったことです。例えば、図画工作の作品を見せる際に、パワーポイントで見せるのか、それとも実際に教師が作品を持ってカメラ越しに見せるのかを考えました。どちらの方が子どもにとって作品の特徴を理解しやすいかなども含め、授業づくりをするようになりました。このように、子どもたちの実態に合わせて、物の見せ方を工夫するようになりました。

このように、少しずつではありますが、確実に変化を感じています。

 

(3)今後、さらに先生方にICTを身近に感じて頂くために、どのような取り組みをしていきたいと考えていますか?

 

今後、先生方がICTを日常的に使えるようになるために、機器とネット環境等の整備を進めたいです。本学では、授業で、PC、タブレット、キーボード、プリンターをよく使いますので、これらのICT機器を日常的に使えるように各環境に整えていたいと思っています。現在はまだ試行錯誤を続けている段階ですが、日常的にICTが使える環境ができることで、さらに授業のねらいや子どもの思考の過程に寄り添った支援が期待できます。

 

(4)サンパウロは教師間の協力体制がかなり整っていたように感じますが、どのようにこの体制を構築されていかれましたか?

 

本学では、教師間の協力体制をしっかり整えることを重視してきました。特に、意識してきたことは教師間のコミュニケーションを綿密に取り合うことです。教師はオンライン授業が始まった当初、Zoomではお互いの気持ちが伝わりにくいことを共通の問題認識として持っていました。そのような性質を理解した上で、Zoomで意思疎通を測れないところは、メールや電話、或いは学校に行って直接相談をするなどして、いつでも困ったときは話し合えるようにしてきました。

引き続き協力体制を保ちながら全教師でより良い教育実践を行っていきたいと思います。